■夢の渡り橋

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ゴーン……ゴーン……。

もう使われていない時計塔の鐘の音…慣れない者には耳障りな、慣れた者には心地良い十三の鐘の音………。

白いマントを来た人が…囁きかけてきた。

『共に去ろう…此の世界から。』

想わず頷いた…するとその人物は空間に手を突っ込む……確かに有る筈のその腕は消え、此処の世界とは違う世界へその腕を伸ばしていた。
そしてその人物はまるで鍵を廻す様に、自分の腕を廻した。

廻しきった瞬間に空間に門が現れた…其れを確認し、その人物は腕を空間から引き抜く。

ズブッ……と、嫌な音が聞こえた。

地獄へ続く門……そう云う表現がピッタリな、怪物達のレリーフがついた門が嫌な音を立て開く。

『さあ……どうぞ?』

その人物に云われるまま……導かれるまま……門の中に足を踏み入れた。





「………夢……かよ……。」
鳥の囀りが聞こえると云うお決まりのパータンの朝、娜梛村 亞津紀(ナダムラ・アツキ)は目を覚ました。
寝ている間いつの間にか拳を握っていたらしい……拳を解くとじわっと嫌な汗が掌に残っている。
「情けねぇ……なぁ……本当……ヤッパリ忘れられねぇんだな……。」

溜息を吐きながらも亞津紀は登校の準備を始めた。
いつもの様に、変わらない……皆と会って皆とだべって授業をこなしていく……そんな日に今日だって成る筈だった。

「亞津紀クン……今日どうかしたんですかぁ?」
「ぇ?」
図書室にいると椎谷 コトリ(シイヤ・*)にそう指摘され、亞津紀は愕いた。
「な……なんだよコトリ?オレなんか変か?」
「気付いて…ないんですかぁ……?」
「は?別にいつもと変わらないだろう?お前の方こそ変なんじゃねぇのか?」
「ぇ……うん………そう…なのかなぁ…。」

キィーン………コォーン……………。

授業が始まる…と云う事でコトリは教室に戻っていった…亞津紀も戻ろうと想ったが……。
「……ぁ…………いってぇ………くそ…何なんだよ……。」
突然頭を抱えて、もといた席に戻る亞津紀。
「……いてぇ……くそ………いってぇ………。」
だん、と拳を図書室の机に叩き付けた。
その後は……眼の前が真っ暗になっただけ……………。


『ああ……懐かしいねぇ……この匂い……くすくすくす………。』

唇の端を嫌な角度に上げ、白いマントを被った人物は嗤った。
人のような温もりなんて感じない…冷たい肌の色…時折風に髪を靡かせて見せる嫌な感じの目つき……声は認識出来るが、どんな声か解らない不明な音。
ただ理解出来るのは……嫌な声だと云う事。

『いるよねぇ?捕まえ損ねたあの子……何処に居るのか当ててあげる。』

恐い……恐怖なんか感じた事無いのに……この人物は恐い。
と、突然その人物が自分の眼の前に現れ、自分を押し倒した。
そしてあの嫌な声で囁いた。



みぃつけたぁ…………。



「亞津紀さん…大丈夫ですか?」
「………ああ……。」
此処は保健室のようだ。
何故自分が此処にいるのか…亞津紀自身には解らない。
「なぁ……オレ何やってんだ?」
「ぇ!?何って……図書室で気を失ってたって……。」
「気……失ってたって?……何で?」
「何でって…こっちが訊きたいですよ!亞津紀さんが倒れたって云うから………」

どうやら此の同じ七不思議調査委員会の委員は自分が倒れたと聞いてお見舞いにやって来たらしい。

苦虫を噛み潰したような顔で亞津紀は今日見た夢について考えた……どうも2回とも良い感じの夢ではない……気分が悪い。

自分はあの夢の所為で倒れたのだろうか?たかが夢如きで?

「亞津紀さん……本当に大丈夫ですか?」
ああ……と返事をしようとしたその時。
「亞津紀クン!!!」
「……?………コトリ?……どうしたんだお前そんな慌てて。」

突然部屋にコトリが入ってきた。 そして息も絶え絶えに云った。

「す………英(スグル)クンが………英クンがいたのぉ………ど……どうしよう……。」

「な………に……?英……が?何処にだ!!!!?」

「さっき……図書室の前で……」

そう云うコトリの言葉を訊いて飛び起きた亞津紀はそのまま保健室を物凄い勢いで外に出て行ってしまった。
「ちょ…ちょっと亞津紀さん!!」

亞津紀を呼び止めようとする声だけが虚しく廊下に響いた。


見付けた…見付けた……捕まえ損ねたあの子…待っていた?此処にやってくるのを。
今度は………絶対捕まえて上げる……。

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■意図紬【月】
月ノ壱:何ぃ英がいた!!?…て云うか英って誰?(コトリに事情を聞く。)
月ノ弐:待って亞津紀ー!!英が誰だか知らないけどアンタ病み上がりなんだから!!(亞津紀を追う。)
月ノ参:その他(具体的にお書き下さい。)