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ドッタドッタと駆けてくる其の正体は何と馬鈴薯!!しかも大群!!!
其の後ろから馬鈴薯を追い掛ける部長の麓山 柚と檻花 愁の二人。
…………どうやらエリザベスが仲間達と合流し、数が増えた様だ。
呆然と其の光景を眺めていた冴花………だったが、はっと我に返った。
「ぶ………部長―――!!止まって下さいぃぃぃいい―――!!」
と其の声を訊いて愁が急いで柚の腕を引っ張った。
そして柚は思い切り後ろに転ぶ。
しかし無情にも馬鈴薯達は冴花が作った落とし穴の中に落ちていってしまった。
モクモクと落とし穴の中から土煙が上がる。
柚は四つん這いに成りながら落とし穴の中に入ろうとした処を愁と冴花に服の裾を掴まれて制止させられる。
「柚!あなたは子供な訳!?」
「そうだよ!そんな馬鈴薯追い掛けて穴の中に入るなんて!!」
「エリザベス達には大事な話が有るんだよ!!」
大事な話?と愁と冴花はお互い顔を見合わせる。
すぅっと息を肺に吸い込んで、柚は穴の中の馬鈴薯達に叫んだ。
「馬鈴薯君達―――!!!どうして畑から逃げ出したのさ―――!!?」
「「ってそんな事かい!!」」
愁と冴花のツッコミが決まったぁ!!!
「そんな事じゃあ無いよ!重要な事だよ!!」
地上ではギャアギャアと云い争いが勃発。
「………暗くて冷たい土の中………。」
ん?っと3人は穴の中を覗き込む。
「お前等に………お前等に俺達の気持ちが解ってたまるもんか……俺達は…俺達はなぁ………もうあんな陰険な土の中には居たくないんだよ!!!!」
「ええ!!?馬鈴薯のくせに!!?」
「馬鈴薯のくせにとは何だ馬鈴薯のくせにとは……そう云うのは人間の考えだろ!!?偏見だ偏見!!!」
冴花が想わず云った言葉に噛み付く馬鈴薯……随分強情だ。
「私達はね…………私達は……南瓜や西瓜の様に日に当たって育ちたいのよ!!」
「そうよそうよ!わたくし達にも日に当たる権利が有るはずよ!!?」
そうだそうだ〜と一丸となる馬鈴薯…与党を批判する野党ですか?
「でもねあなた達…あなた達は日に当たったら毒が出来ちゃうのよ?そうしたら誰にも食べて貰えなくなっちゃうし…。」
「俺達は人間に食べられる為に生まれてきたんじゃあ無い!!世界を護る為に生まれてきたんだ!!」
スケールでかいですね〜。
「だから俺達はもう土の中には還りたくない!!自由になりたいんだ!!!」
「食べられるだけの人生なんて嫌ザンス!!」
「生きる権利は馬鈴薯にだって有る筈よ!!」
「わたくし達だって命を紡いで生きているのですよ!!」
正論と云えば正論かも知れないが、ほとほと理解は出来ない、と冴花と愁が馬鈴薯達に気を取られている間に……。
「とお!!」
柚が落とし穴の中にダイブしてしまった。
「ちょっと柚!あなた何するつもり!?」
「エリザベス……キャサリン……ジョセフィーヌ…………其れに有栖川 金次郎…。」
???????きゃさりん?……じょせふぃーぬ?……ありすがわきんじろう??
またまた柚の爆弾発言……センス無さ過ぎですよ柚サン。
「何だよ……俺達の声に耳を貸さなかったくせにお前の声に耳を貸せって云うのか!?」
「もう良いじゃ無いか!是以上日に当たるのは良くないよ!健康に良くないよ!!君達の云い分は解るよ…解るけど…でもやっぱり君達は馬鈴薯…日には当てちゃいけないんだよ!」
「……う……五月蠅い!!!死んじまえーーー!!!」
有栖川 金次郎の合図で一斉に馬鈴薯達が柚に襲いかかる。
そして見る見る内に柚は馬鈴薯に覆われてしまった。
「ぶ………部長!!」
「ちょっと馬鈴薯!柚を離しなさいよ!!あなた達を其処迄育ててくれたのは誰だと想っているの!?其処にいる馬鈴薯栽培部の部長…麓山 柚でしょ!?其れなのに…。」
「酷いよ……部長は人生の大半(?)を君達馬鈴薯達の為に捧げて来たのにそんな仕打ちをするなんて……。」
「………こう成ったら……燃やすしか………。」
愁の周りに炎の塊が出現した…愁が魔力『焔』を発動させている。
「ま………待つんだ愁君!!」
そう云うと柚が血相を変えて馬鈴薯の中から顔を出した。
「悪いのは馬鈴薯じゃあ無い……暗くて冷たい土だよ…!!」
何て云う理由の庇い方だ。
「其れにもし僕を殺したいなら、さっきエリザベスは僕を励ましには来なかったよ…あのまま放って置けば僕は死んだも同然なのに…なのに助けてくれたんだよ!僕の事を殺そうとしている奴はこんな事しないよ!!」
すると馬鈴薯達はぴたりと動きを止めた。どうやら図星らしい……。
「でも今は殺そうとしているよ?」
「そうよ…圧死させようとしている。」
「でも僕は死んでいないよ……馬鈴薯達は僕に危害なんか与えていない…だって僕達の中には……。」
友情が有るんだから………。
「「くさいっ!!!!」」
愁サン炎の塊発射迄5秒前〜4、3、2、1………発射!!!
愁が遠慮無く炎の塊を発射〜!!!
其れを見て冴花が………。
「ねぇあなた………部長が死なない様に手加減したよね??」
「えっ…………あっ………。」
手加減し忘れた!!!
と今頃気が付いても後の祭り、炎が柚にも襲いかかる。
「柚!!」「部長!!」
するとじゅうっと音がして炎の塊が消える。
「何してんだよ…二人とも…」
其処に現れたのは嵐…魔力『水』を使って愁の『焔』と相殺させた様だ。
助かった〜っと愁、冴花、嵐が穴の中を見ると………其処では柚を護る様にして馬鈴薯達が陣を組んでいた。
「じゃ……馬鈴薯君…??」
「ふっ………どうやら俺達はやはり自分の心に嘘は付けないらしい…。」
「そうザンスね……柚サン…アータにはやっぱり感謝しているザンスよ…。」
「わたくし達…土の中に戻りますわ。」
何故か和解した様子の柚と馬鈴薯。
「馬鈴薯君!!!!」「柚―!!!」
ひしと抱き合う(?)柚と馬鈴薯……ええ目出度し目出度し、一件落着★
散々振り回された愁、冴花、嵐は面白くない、と云った感じの顔だ。
そして放課後には例年通り新入生部活見学が行われたが、今年は馬鈴薯堀りでは無く、馬鈴薯植えが開催された…其れで良いのか馬鈴薯栽培部!!?
「結局……何で馬鈴薯が動いた訳?」
「さぁ………全ては闇の中って奴じゃねぇ…。」
冴花と嵐が零した最後の疑問。
後に『馬鈴薯春の乱』と呼ばれた此の事件は実は七不思議のひとつだったりした。
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■登場人物
◇PC
榊原 嵐、
秋穂 冴花、
檻花 愁
◇NPC
麓山 柚、
那波 鷲恋、
馬鈴薯達