----------------------------------------------------------

「ねぇねぇ、アマテラスお姉ちゃん、スサノヲお兄ちゃん。ボク達月読命を捜して居るんだけど、何か外見の特徴とか無いかな?」
「外見ですか?」

咲の詞にアマテラスはう〜ん…と考え込みながら、何処からともなくペンと紙を取り出した…………まさか!!!!?
その場にいた全員が止めようとすると、スサノヲがアマテラスからペンと紙を奪い取った。

「姉上に描かせたら人間だってミッ●ーマウスだか、豚だか、ミトコンドリアだか解らない画に成るんですから描くの禁止です!」
ォヲ!流石弟解ってる!………と云うかミッ●ーマウスもミトコンドリアも知っているんかい!!!?



取り敢えずアマテラスから取り上げたペンと紙でスサノヲが月読命の外見を描き始める。
暫くしてスサノヲが自信ありげに画を皆に見せた。

其の画にポカーンっと口を開ける一同。

海「えっと…是は…あっ、解りました!ドラ●もんですね?」
水守「うーん……海豚にも見えるよね………?」
唄冶「否、自分はわんこだと想います。」
咲「うん、ボクもそう思う………って唄冶お姉ちゃん何時の間に!!?」
「………さっきからです。」
軽いデジャブに襲われる咲を後目に唄冶はアマテラスに近付いた。



唄冶は破れた(シツコイが破かれた)本をアマテラスの前の地面に置いた。

「是は……?」
「自分の【時】の魔力で直してみようと想って…。」
そう云うと唄冶は手を本の上に翳し気を本に集中させた。

すると破れた一枚一枚がビデオの巻き戻しの要領で本に戻っていく。
あっと云う間に本は元通りに成ったが、唄冶はシュンとしたままだ…弟の愚行を未だ気にしているらしい。そして御免なさい、とアマテラスに謝った。

「良いのですよ、唄冶様が謝る事では有りません、そもそも悪いのはスサノヲですし、彼の子が月読命を高天原から連れ出さなければこんな事には成りませんでしたしね。」

アマテラスは元に戻った本を自分の膝に置いて徐に捲り始めた。
「あっ、危ないですよ!何が起こるか…。」
「大丈夫ですよ、多分。」
海が制止するのも訊かずにアマテラスはパラパラと本を捲り、フッと想った様に呟いた。

「…それにしても…何故スサノヲは中ツ国に来たのでしょう…?」
「ぇ?遊びに来たかったって以前本人が云っていたじゃあないですか?」
「ぇぇ…海様の云う通りなんですけど…還れない今も遊んで居る様には見えないでしょう?皆と仲良く出来ないし……。」
「自分が思うに、本当にあなたを『太陽』の仕事から解放したかったんじゃあ無いのですか?うちの弟に負けず劣らずシスコンみたいですし…。」
だと良いのですけど…と、アマテラスは心配そうに自分の弟を見詰めた。



「あら、何でしょう?此の光は………。」
パラパラと捲っていくと、丁度スサノヲが大蛇を退治した時の噺が書かれている頁に成った。
すると何やらダークな光の塊が本の上に出現する。
フワフワとケサランパサランの様に不気味に浮遊する光の塊……唄冶と海は悪寒を感じた。
何か嫌な物が近付いてくる様なそんな不気味な感覚…。

「………アマテラス殿……嫌な予感がします、早く其の本を閉じて!!!」
「ぇ?ですが……」
「海さんの云う事…訊いた方が良いと想います。」
そう云うと唄冶はカタカタ……と音を立てて振動する髪飾りをアマテラスと海に見せた…代々伝わる魔法具だ、普段は魔除けにしか成らないのだが…。
「何かに共鳴しています…何か来ます…さぁ、早く!」
云われるままにアマテラスが本を閉じようとしたその時………。

ニョキっと何かが其の光の中から巨大な顔を出した。(本の幅に合ってないじゃんと云うツッコミは無しで!)
そしてズルズルと其の巨体を本の外に出す…此の光景を間近で見てしまった3人は絶句してしまった。







「よし、一応月読命がどんな人なのか解った事だし、早速捜そうよ!」
「此のわんこの画でか?」
咲の顔にスサノヲが描いた画を押し付ける亞津紀…また苛々し出した様だ。

「たくよ…期待させておいて此の程度か…あ〜あ、姉弟揃って情け無い…。」
亞津紀の詞を訊いてスサノヲがスルリと鞘から剣を抜いた。
「貴様…私達を莫迦にするのも好い加減にしろ…。」
「あん?莫迦にする?何も出来ない神様莫迦にして何が悪い?」
「勝手に人間が想像したイメージで物事の解釈をされたくないな、神が何でも出来るなんて誰が決めた?」
「はぁ?自分の無力さを正当化しようとしてるんじゃあねぇよ!」

将に一触即発の状態。此の状況に割って入る水守。
「スサノヲさんコチラの世界にはコチラの世界なりの決まりが有ります。スサノヲさんと亞津紀君が喧嘩したらまた公共物が壊されちゃう…だから其の…喧嘩しないで下さい!あ………亞津紀君も…其の、えっと、煙草止めようよ?そうしたらこんな事で…その怒る事も無いよ……はわっ、ご…御免なさい!!」
顔を赤らめて下を向いてしまう水守、彼女の姿を見て何となく毒気を抜かれてしまった二人だった。

「はぁ…まぁ今日はこのくらいにしてやるか…さてと、月読命は……って………はっ??」
「えっ………?」
「何……是??」
気を取り直して月読命を捜そうとした処で一同の眼の前をヌルリとした物体が通過した。
爬虫類に似た皮膚をした超巨大物体…皆が呆気に取られていると影が落ちてくる。
恐る恐る見上げると………。



「「「ギャー!!!!何だ是!!?」」」



皆一斉に悲鳴を上げる…其処に有ったのは八首の巨大な蛇の顔……。
「そんな莫迦な…。」
スサノヲが驚愕の声を漏らす。
「何?何!!?スサノヲお兄ちゃん是が何だか知っているの??」
咲の問いに素直に頷くスサノヲ…すると…。

バッッッッコーン!!!

スサノヲの後頭部に大きめの石がぶつけられる。本日2回目!!勿論犯人は…アマテラス。
「どういう事ですかスサノヲ?どうして太郎と花子と良子とヲイちゃんと…えっと……。」
「姉上、其の変な名前止めて下さいって云ったでしょう?此奴は“八岐大蛇”です!!私の可愛いペットの!!」

……………ペット!!!!?

此の人こんな怪物ペットにしているのですか??
「流石神様…スケールが違うね…。」
一応感心する水守をベチッと軽く叩く亞津紀。
「んな事云っている場合か!?大体何でこんな化け物が此処に…説明しやがれ!!」
「がなるな野蛮人、大丈夫メアリーは腹が空かないと暴れないからな。」

メアリー…ね、メアリー………って何じゃそりゃ!!?
スサノヲも、そのスサノヲにツッコム一同をも完全に無視してメアリーは暴れまくる…近くに有ったバスケのゴールやらベンチやらを口から光線吐いて破壊したり、尾を振り回したり……。
水守が疑問の声を上げる。
「ねぇ…お腹が空いて無かったら暴れないんじゃ無かったの?」
「あー………そういえば最後に餌やったのは私がこっちに来る前だから…数週間前になるな。」

「「「「そりゃ腹減るわ!!!」」」」

「否、爬虫類は結構長い間絶食しても生きていられる物だぞ?な?ジェームズ!!」
アンギャーと叫び声を上げて攻撃してくるジェームズ…ん?名前変わってるじゃん!
「しかし、何故ジェームズが此処に?ちゃんと封印していた筈なのに…。」
「Aちゃんに逢いたかったんじゃないのか?ほら、ペットって飼い主居ないと淋しがるとか云うし!」
「否、ジェームズにそんな感情が有るとは想えないが…。」
「莫迦だなぁ〜ペットは意外と純なんだぜ?」
唄美に云われ考え込むスサノヲ……そんな二人を後目に八岐大蛇は学園に迫る。



back     next